Beautiful morning with you.<キミを探して>
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愛し、これから結婚する相手を信じないでどうする。と心に思った俺は、いずみを信じることに決めた。いずみは、課長に相談しただけ。俺に言わないのは、いずみの考えあっての事だろう。それに何かあれば、いずみのほうから言ってくるだろうし。 「ああ、俺は馬鹿だ」 我ながら、馬鹿思い込みをしていたものだ・・・と俺は、自分自身を笑った。 だが、そんな俺の気持ちを裏切るように、いずみの行動はおかしくなる一方だった。 その日の午後、上の階の総務部に書類を届けようした時のことだが、エレベータを待っていると、ドタバタと足音が近づいてきたのだ。 「ったく騒々しいな」 と駆けてくるヤツの顔を見てやろうとしたら、その足音の主はいずみだった。 しかも誰も見ていないと思ったのか、パンツの上から両手で股間を抑え駆けてきたのだ。 「うー漏れる、漏れる」と。 そんな事、俺でもしない。まるで、そう中年のオッサンのようだったのだ。 まっ、まあそれだけなら、いずみの意外な一面を見た・・・で留められるのだが、俺に気がつかず、風を巻き上げてトイレへと向かったいずみは、何を思ったのか、男子トイレへと駆け込んだのだ。 「へっ?」 俺は目を丸くし、いずみが入ったのが男子トイレである事を確認した。 間違いなかった。いずみが駆け込んだ入り口には、紳士のマークがプリントされたプレートがはられている。唖然として、どうなるのか見つめていると、男子トイレの中で「うわっ」と男の声がした。突然入ってきたいずみに、男子トイレに女性が駆け込んできたものだからよっぽど驚いたのだろう。 「あっ、申し訳ない」と続けて、いずみが声がしたかと思うと、いずみは再び股間を抑えたまま、男子トイレを飛び出し、今度は婦人のマークがプリントされたプレートを確認してから、女子トイレへと入っていったのだ。 「いったい・・・」 ますます、いずみの事がわからなくなった一幕だった。 * しかし、それだけではない。 結婚式の打ち合わせをしようと誘っても断わり、俺に任せっきりだし、プライベートではもちろん、会社でも俺との距離をおくようになったのだ。まあ、その程度なら我慢できなくないのだが、俺と話さなくなった反面、妙に課長とコソコソ密会するようになり、俺が近寄ると聞かれては不味いとばかりに、逃げていくのだ。一人でいるところをつかまえ「どうしたんだ?」と尋ねてみても、「ごめんなさい。言えないの」の連続。いずみを信じると決めた俺だが、こんなことの繰り返しに、いい加減我慢の限界が来ていた。 |
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