Beautiful morning with you.<キミを探して>
いずみを信じて、俺は待つことに決めた。
周りがどう思おうと関係ない。愛するいずみを、俺はいずみを信じると決めたのだから。

そして二日後・・・
俺は、自分が選択した事が正しかったことを確信した。
いずみが出社してきたのだ。
「心配かけてごめんなさい」
いずみは俺の前に立ち、ペコリと頭を下げた。
「あっ、いや・・・俺のほうこそ」
とにかく良かった。これでなんとか、結婚式を挙げられるのだ。
いずみの調子は相変わらずだったが、それでも笑みが零れるようになったし、以前の、いつものいずみに近づきつつあるのが日を増すごとに判った。そんな努力するいずみの姿を見て、俺も多くは尋ねず、ただ、いずみを幸せに、そして支えてあげようと心に誓った。

     *

それから結婚式まで、慌ただしく日が過ぎた。
なぜか課長が行方不明となり、突然仲人が変更となったのだ。
幸い、代わりはすぐに見つかったのだが、突然の準備にてんやわんやの大騒ぎ。島崎課長の行方もわからず、不安の残る日々が結婚式前日まで続いた。

だが周りの協力もあって、俺達はなんとか結婚式当日を迎えることが出来た。
新婦控室に入ると、純白のクラシカルドレスを身にまとった、俺の花嫁がメイクの真っ最中だった。
「はい、出来ました」
式場の人がメイクを終え立ち上がると、いずみのお母さんや姉さんが「まあ、奇麗」と褒め称えていた。確かに奇麗だった。首につけられたネックレスやドレスの表面に配置されたパールが天井からの光を受け、花嫁を輝かせていた。
「あら、昌信さん」
入り口に立つ、俺に気がついたのか、いずみの家族は部屋から退室する。
いずみのお父さんは、ポンと俺の肩を叩き「いずみを頼んだぞ」と言い残した。
「・・・」
そして、部屋に残された俺は、自分の花嫁の前へと歩み寄った。
前に立ち、ベールで隠された花嫁の顔を見ると、彼女は笑みを浮かべていた。化粧が施されたその顔はとても白く、いつもに増して美しいものだったのだが、その笑みだけは何故か冷たく、それを見た途端ゾクッと背筋に悪寒が走った。
「いずみ?」
そう声をかけると、いずみは顔をすっとあげて今度は優しく微笑んだ。
「さあ、いきましょ!」
純白の手袋に包んだ花嫁の手が、俺の手を掴む。
「あっ、ああ・・・」
俺は手にしていた白い手袋をギュッと握りしめ、コクッと頷いた。
そして手を繋ぎ、二人で歩き出した。

<おしまい>


あとがき