Beautiful morning with you.<キミを探して>
Beautiful morning with you. <キミを探して>

                      作・復活半歩前のジョニー

<登場人物>
★芳川昌信(よしかわまさのぶ)25歳・男・○×社営業部営業一課
★相川いずみ(あいかわいずみ)25歳・女・○×社営業部営業一課
★島崎俊文(しまざきとしふみ)50歳・男・○×社営業部営業一課・課長

     *

出勤してきたいずみの姿をみつけ、俺はいずみの席へと向かった。
「おはよう」
「あっ、おはよう・・・」と、いずみは自分の席に腰掛けながらいった。
暑い日が続いているせいだろうか、少しお疲れな様子だった。
「んっ、それどうしたんだい?」
右腕の肘のところにバンソウコウが貼られていたので、尋ねると、いずみはそれをサッと左手で隠し、「昨日、転んでしまって」と苦笑いを浮べた。
「へぇ〜、いずみも案外、ドジなところがあるんだな」
「・・・」
「そうそう、それより・・・」
俺は周りに聞かれないぐらいの小声で、「昨日はどうしたんだい?」と尋ねた。
「えっ?」
「何度か電話したんだぞ」
「えっ、あっ、そう・・・」
「そうって、いずみが相談したいことあるって言うから電話したんじゃないか」
「そっ、そうだっけ?」
いずみはとぼけるように、苦笑いを浮べた。
「おいおい、頼むぜ」
「あっ!」といずみが声をあげた。その視線は、俺の背後へと向けられている。チラッと振り返ると、出社してきた島崎課長の姿があった。
「えっと、ちょっと・・・島崎課長に用があるから・・・」
いずみはそう言うと、俺の横をすり抜け、島崎課長の元へと駆けていった。
そしてタイムカードをおす課長の腕を引張り、二人で何処かへと行ってしまった。
「なんか、変なこと言ったかな」
首を横に傾げ、俺は自分の席へと戻っていった。

俺、芳川昌信(よしかわまさのぶ)は、同じ課の相川いずみ(あいかわいずみ)と来月結婚するになっていた。俺といずみは三年前にこの○×社へ入社、研修の時に恋に落ち、三年の社内恋愛を経て、いよいよ結婚となったのだ。全ては順調。俺は、訪れるその瞬間を楽しみにしていた。だが、結婚式を二週間後に控えたこの日・・・突然、いずみの様子がおかしくなった。

どうしたのだろう?
何か余計な事を言ってしまっただろうか。いや、ひとつも思い当たらない。
昨日までは、まさに「さあ、結婚式だ」という気分でいたのに。
なぜ、突然・・・
疑惑に似た不安が募る。
それが自分の中で、ムクムクと大きくなっていくのがわかる。
もはや、仕事どころではなかった。

     *

「あのさ、芳川」
気分転換にと喫煙室でタバコを吹かしていると、隣に立っていた同僚が尋ねてきた。
「なんだ?」
「お前といずみちゃん。・・・上手くいってるんだよな?」
同僚のその一言に、ドキッと心臓が高鳴った。
「あっ、当たり前だろ。二週間後には結婚式だぞ」
「そうだよな。いや、悪い。変なこと聞いて・・・」
「なんだよ、気になるだろ」
タバコの灰を灰皿に落とし、俺は聞き返した。
「いやさ。昨夜、島崎課長といるとこ見ちゃったんだよ」
「課長と?」
「ああ。喫茶店で二人でなんか話してたぜ」
「へぇ〜」
初耳である。課長は俺たちの仲人を引き受けてくれており、仕事上でも尊敬できる人なのだが、俺に内緒でいずみが課長とあっていたなんて・・・まるで知らなかった。
「相談かなんかだとは思ったんだけどさ、二人とも妙に真剣な表情だったからさ」
「そうか。サンキューな」
「いや、いいんだ。けどさ、女はマリッジブルー入る時期だし、仲人の島崎課長に相談するって事は、なんか悩みがあるんだと思うぜ。とにかく気をつけたほうがいいぞ」
「おう」
同僚の心配を聞きながら、俺はいずみが課長と何を話していたのかひどく気になっていた。


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食事に誘い、それとなく確認しようとする。

いずみを信じようと、心に誓う。

とりあえず、いずみの様子を監視しようとする。